生成AIとは――基本の仕組みと代表的なサービス、仕事での使われ方

 文章を書いたり、画像を作ったり、質問に答えたりする「生成AI」。個人で利用するだけでなく、企業でも資料作成や社内の問い合わせ対応などに取り入れられている。
 ここでは、生成AIの基本的な仕組みと、代表的な企業・サービス、仕事での使われ方を整理する。

目次

この記事で分かること

  • 生成AIとは何か、ほかのAIとどう違うのか
  • 文章や画像を生成する基本的な仕組み
  • 代表的な企業とサービス・モデルの名前
  • 企業での活用例とAIエージェントとの関係

1.生成AIとは何か

 生成AIは、学習したデータの特徴や関係をもとに、文章、画像、音声などを生成するAIである。英語では「Generative AI」と呼ばれる。

 例えば「会議の案内文を書いて」と入力すると文章を作り、「海辺の街を水彩画風に描いて」と伝えると、その説明に応じた画像を作る。こうした指示や入力は「プロンプト」と呼ばれる。文章や画像のほか、動画、音楽、プログラムのコードなどを生成するものもある。また、文章と画像など、複数の種類の情報を扱う仕組みは「マルチモーダル」と呼ばれる。参考:IBM「生成AIとは」

 何もないところから作るだけでなく、長文を短くまとめる、表現を分かりやすくする、別の言語に翻訳するなど、手元の情報を加工する用途にも使われる。

2.AIと生成AIはどう違うのか

 AIは、認識、予測、判断などに関わる幅広い技術を指す。生成AIは、その中の一つである。例えば、写真に写る動物を分類する、過去の販売実績から需要を予測するといった用途にもAIは使われる。生成AIは、文章や画像などを作る働きに特徴がある。

働き使い方の例出力の例
分類・認識する商品の画像から不良品を見つける分類結果や該当箇所
予測する販売実績から今後の需要を見積もる予測した販売数
生成する商品の特徴をもとに紹介文を書く説明文や広告文の案

 これは用途を理解するための分け方である。実際には、生成AIで文章を分類したり、予測結果を生成AIが説明したりするなど、複数の働きを組み合わせることもある。

 生成AIが登場したことで、それまでのAIが不要になったわけではない。目的に応じて使う技術が異なる。参考:IBM「生成AIと予測AIの違いとは」

3.どのような仕組みで作られるのか

生成AIの仕組みは、大まかに「学習する段階」と「利用する段階」に分けられる。

 「AIモデル」とは、学習した特徴や関係を計算に使える形にしたものである。利用者が操作するチャット画面などの「サービス」と、その内側で処理を担う「モデル」は、異なるものを指している。文章を扱う生成AIでは、大規模言語モデルが使われる。英語の「Large Language Model」を略して「LLM」と呼ばれる。

 文章生成の基本は、入力された内容と、それまでの文章に続く言葉を少しずつ選んでいくことにある。実際には、文字や単語を一定の単位に分けた「トークン」を使って処理する。大量の文章から学習した言葉の関係をもとに、依頼に沿った文章を組み立てる。参考:IBM「生成AIと予測AIの違いとは」

 画像生成には、ランダムなノイズから段階的に画像を作る「拡散モデル」など、文章とは異なる方法も使われる。生成AIという一つの名前の中に、対象に応じた複数の技術が含まれている。参考:Red Hat「生成AIとは」

4.代表的な企業とサービス

 生成AIに関わる企業には、モデルを開発する会社、利用者向けのサービスを提供する会社、企業のシステムへの導入を支援する会社などがある。一つの企業が複数の役割を担う場合も多い。

 以下は代表例であり、性能やシェアの順位を示すものではない。米国企業が提供するChatGPTやGemini、中国企業が提供するDeepSeekやQwenなどが知られている。日本でも、NECやNTT、Sakana AIなどが生成AIの開発や活用に取り組んでいる。

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国企業サービス・モデル・取り組みの例主な用途・位置付け
米国OpenAIChatGPT個人・企業向け。対話を通じた文章作成、情報整理、プログラミング支援など
米国GoogleGemini個人・企業向け。文章や画像などを扱うAIアシスタント。モデル群の名称としても使われる
米国AnthropicClaude個人・企業向け。文章作成、資料の読解、プログラミング支援など。サービスとモデル群の名称
米国MicrosoftMicrosoft 365 Copilot主に業務向け。Word、Excelなどのアプリと連携し、文書作成やデータ分析などを支援
米国AdobeAdobe Firefly個人・企業向け。画像や動画などの生成・編集を支援するサービスとモデル群
日本NECcotomi主に企業・自治体向け。NECが開発するAIコア技術で、文書を扱う業務などに活用
日本NTTtsuzumi主に企業・自治体向け。NTTが開発する言語モデルで、日本語を扱う業務などへの活用を想定
日本Sakana AIThe AI Scientist主に研究者向け。研究アイデアの提案、実験、結果の整理、論文作成などの自動化を目指す研究システム
中国AlibabaQwen個人・企業・開発者向け。文章生成やプログラミングなどに使われるモデル群。対話型サービスとしても提供
中国DeepSeekDeepSeek個人・開発者向け。質問への回答、文章作成、プログラミング支援など。サービスとモデル群の名称
中国Moonshot AIKimi個人・企業向け。長い資料の読解、情報検索、文章作成などを支援するAIアシスタント

※代表例であり、掲載順は性能やシェアの順位を示すものではない。国は企業の主な拠点に基づく。利用対象は掲載したサービス・モデル・取り組みの主な用途を示し、利用できる機能は契約や提供地域などによって異なる。2026年9月時点。

 また、個人が使うチャットサービスと、企業システムの中で使われるモデルは、利用の形が異なる。企業が生成AIを導入する場合も、自社でモデルを一から開発するとは限らず、既存のサービスやモデルを組み合わせる方法がある。
※名称や用途は2026年9月時点で確認したもの。利用できる機能は契約や提供地域などによって異なる。

5.企業ではどのように使われているのか

 企業での使い方には、メールや議事録の作成、資料の要約、問い合わせへの回答案作成などがある。日常的に発生する文章の読み書きが、身近な活用場面となっている。参考:NECソリューションイノベータ「生成AIとは?」

業務活用の例
文書作成メール、報告書、提案書の下書き
会議・情報整理議事録の作成、長い資料の要約
社内問い合わせ社内規程やマニュアルを参照した回答
システム開発コードの生成、修正案や処理内容の説明
企画・制作アイデア出し、広告文や画像の案の作成

 例えば、パナソニック コネクトは社内向けAIアシスタント「ConnectAI」を活用している。2026年7月の発表では、議事録、提案書、設計書・仕様書の作成や、コード生成、ログ分析などに利用が広がったとしている。

 同社は2025年度のAI活用による労働時間の削減効果を78.8万時間と公表した。これは同社による集計・評価であり、ほかの企業でも同じ効果が得られることを示す数字ではない。参考:パナソニック コネクト発表 また、日立は2025年のIT活用に関する報告で、社員向けAIアシスタント「Effibot」を2025年3月末までに約6万人が利用したと説明している。参考:日立「IT Performance Report 2025」

 こうした事例からは、個人が質問する道具としてだけでなく、会社が利用環境を用意し、業務の中で使う形も見えてくる。

6.検索との違いと、回答の受け止め方

 検索は、すでに存在する情報を探す仕組みである。生成AIは、入力に応じた文章などを作る仕組みである。例えば、施設の開館時間を質問したとき、生成AIが自然な文章で答えても、その施設の最新情報を確認しているとは限らない。一方、検索機能と組み合わせ、ウェブページを参照して回答するサービスもある。

 生成AIは、事実と異なる内容をもっともらしく示すことがある。この現象は「ハルシネーション」と呼ばれる。文章が読みやすいことと、内容が正確であることは別の性質となる。参考:NTTドコモビジネス「生成AIとは?」

 企業での利用では、回答の確認に加え、入力する情報の扱いも関わってくる。利用者の入力が保存されるか、モデルの学習に使われるかといった条件は、サービスや契約、設定によって異なる。社内資料を扱う場合には、会社が定めた利用環境やルールが判断の手がかりになる。

7.AIエージェントとはどうつながるのか

 生成AIと併せて使われる言葉に「AIエージェント」がある。生成AIが文章や画像などを作る技術を指すのに対し、AIエージェントは、目的に応じて手順や道具を選び、作業を進める仕組みを指す。生成AIが、その中で指示を読み取り、手順を検討し、回答を作る役割を担う場合がある。参考:Anthropic「Building Effective AI Agents」

 例えば、「旅行プランを文章にする」のは生成AIの使い方の一つだ。検索や予約サービスとの連携が加わると、候補を調べ、空き状況を確認し、利用者の承認を経て予約手続きを進める仕組みにつながる。

 どこまでできるかは、モデルの能力だけでなく、接続するサービスや許可された操作によっても変わる。生成AIを知ることは、こうしたサービスの仕組みを理解する入口にもなる。

まとめ図解

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参考資料

本記事は、以下の解説資料と各社の公式発表・公開資料をもとに整理した。図解もこれらの資料を参考に作成している。企業の利用人数や導入効果は、各社が公表した時点の数値である。

日本IBM「生成AIと予測AIの違いとは」

RedHat「生成 AI とは」

パナソニックホールディングス株式会社「パナソニック コネクト、AI活用で総労働時間の3.4%削減AIエージェントの活用を拡大し2030年に10%削減を目指す」

株式会社日立製作所「IT_Performance_Report_2025J.pdf」

Anthropic PBC「Building effective agents」

NTTコミュニケーションズ株式会社「生成AIとは?」

その他

※本文中の図解は、公開されている参考文献、企業公式資料、報道資料などをもとに内容を独自に整理し、生成AIを用いて作成している。図解は理解を助けるための概念整理を目的としており、各社・各機関の公式図表をそのまま転載したものではない。

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